Take me ☆ Take youを考えるお話
第5回シンデレラガール総選挙上位アイドルで構成された楽曲Take me ☆ Take you.今までも総選挙上位メンバーで構成された楽曲はAbsolute NIneや輝く世界の魔法などありましたが,5周年という区切り,また発売時期がその5周年に近かったことからかこれまでの楽曲よりももっと「シンデレラガールズ」のテーマに近い部分が描かれていたように思えます.もちろん5周年記念楽曲としてEVER MOREも登場しましたがそれはまた別として.
本記事ではTake me ☆ Take youがどの点でシンデレラガールズのテーマを描いているのかについて個人的な考えを書いていきます.
そもそもシンデレラガールズのテーマとは
ここについては一概に言うのも難しく,色々な意見等もあるとは思います.その中でも自分は「夢に向かって進んでいく姿」という点を取り上げて行きます.
例えばシンデレラガールズのテーマソングである「お願い!シンデレラ」ラストサビの歌詞を引用します.
お願い! シンデレラ 夢は夢で終われない
叶えるよ 星に願いをかけたなら
みつけよう! My Only Star 探し続けていきたい
涙のあとには また笑って
スマートにね でも可愛く
進もう!
ここからわかるように自分が叶えたい夢を夢見るだけで終わらせず,それに向けて進んでいく姿が描かれています.
「夢に向かって進んでいく姿」と述べましたが,1度夢を叶えてそれで終わりではありません.1度夢を叶えた後再び他の夢に向かって進んでいきます.
「夢」という言葉を「魔法」に置き換えるならば,「お願い!シンデレラ」内の歌詞だと次のものが当てはまるでしょうか.
魔法が解けない様に
リアルなスキル 巡るミラクル 信じてる
「シンデレラガールズ」はプロデューサーに魔法をかけてもらう(スカウトされる)ことで少女がアイドル(シンデレラ)へと変身します.タイトルの元ネタである「シンデレラ」を踏まえるならばその魔法は永遠に続くわけではなく12時で解けてしまいますが,「シンデレラガールズ」では上記の歌詞のように「リアルなスキルと巡るミラクルを信じる」ことで魔法は解けないことが示されており,自分の実力・自信,そして運を信じることでプロデューサーの魔法は一過性のものではなくなります.
もっと現実に寄せて書くならスカウトされてアイドルになったところで自分が努力しなきゃすぐ干されちゃうし,運がなければ仕事が取れないよねとかそんなところでしょうか.
これについてはアニメでも描かれています.1クール目最終話である13話にてフェスを終え,皆「はじめ憧れていたアイドル」になったにも関わらず,そこから更にどんなアイドルになりたいかの「個性」を見つける2クールへと続きます.もっと言うなら2クールで個性を見つけ,最終話にてシンデレラの舞踏会を終えたにも関わらずシンデレラプロジェクトを巣立ち,各メンバーで「冒険」をした後に再びライブを行います.このことからも「夢に向かって進んでいく姿」と言えるでしょう.
以上のことから「夢に向かって進んでいく姿」,もっと言うなら「夢を叶えたとしても更にその先の夢へと挑戦し続ける姿勢」がテーマとなっていると考えられます.
Take me ☆ Take youから見えるテーマ性
まず言えるのは「Take me ☆ Take you」で描かれている世界はすでに夢の中,つまりアイドルになってある程度経った時点ということです.これについては歌詞中の「覚めない夢は始まったばかり」や「果てない夢はまだまだこれから」という点からも読み取れます.「お願い!シンデレラ」ではアイドルになりたての頃が描かれていましたが,「Take me ☆ Take you」ではもっとそこから先のお話となります.5周年ですしね.
さて,先程テーマとして「夢を叶えたとしても更にその先の夢へと挑戦し続ける姿勢」と挙げましたが,更にそこから別々に見ていきます.「夢を叶えたとしても更にその先の夢へ」という点と「挑戦し続ける姿勢」という点についてです.
夢を叶えたとしても更にその先の夢へ
これについては先程少し触れましたが「覚めない夢は始まったばかり」や「果てない夢はまだまだこれから」の2点です.
「お願い!シンデレラ」ではアイドルになりたての頃が,「Take me ☆ Take you」ではそこからもっと先が描かれていると先述しましたが,それにも関わらずなぜ「始まったばかり」で「まだまだこれから」なのか.普通に考えたら最初の頃に比べある程度進んでいるならこの言葉はそぐわないでしょう.
ここ繋がってくるのが「夢を叶えたとしても更にその先の夢へ」という部分で,最初の頃夢見てたものを叶えても更にまた先の夢へと進んでいるというテーマだからこそ,この言葉が使われているのかと思います.歌詞の言葉を使うなら「昨日の目的地は 明日には通過点」でしょうか.昔の自分の夢は未来の自分にとっては終着点ではなく通過点でしかありません.
歌詞の最後が「覚めない夢は 始まったばかり」となっていることからも,今描いているこの状態すらもまだ夢の途中でしかないことがわかります.ついでに言うならジャケット絵に鳥が羽ばたいているところもでしょうか.
ちょっと話は外れますが,「お願い!シンデレラ」とリンクを感じる箇所がいくつか存在します. 例えば「覚めない夢」や「果てない夢」というフレーズのように終わらない夢(=魔法)を感じさせる言葉には,これまで「リアルなスキルと巡るミラクルを信じてきた」アイドルの姿を彷彿させられます.
この他に「誰も止められない So Lucky 運も味方になる」という歌詞も挙げられます.この歌詞が登場するのは「限界を越えてどんな壁も乗り越える」シーンになります.運(巡るミラクル)を信じることで魔法が解けないという図式があったように「Take me ☆ Take you」でもそれは同じで,困難を超えるシーンではきちんと運(巡るミラクル)が味方になっています.更に挙げるなら「苦手って言うだけで やめたって放り投げて 諦めつくような夢じゃない」というのも「夢は夢で終われない」と同じと言えるかもしれません.
挑戦し続ける姿勢
当たり前ですが挑戦するとは新しいことに挑むことです.そのため,今までやってきたようなことは挑戦とは言えません.
これを示しているのが1番のAメロ,Bメロでしょうか.
行き交う人の波 スルリ通り抜けて
いつもより少し遠回り
昨日の目的地 明日には通過点
Keep on シャイニー! 進み続けなくちゃ
分かり切った進路じゃつまらない
Rotation 飛び出して
1番わかりやすいのは「Keep on シャイニー! 進み続けなくちゃ」でしょうか.自分の輝きを保ち続けて(=夢が解けないようにして)更に進んでいく姿勢がみられます.挑戦という意味合いを強くするなら2番の「Keep on シャイニー! 挑み続けなくちゃ」のほうがより近いですね.
また,「分かりきった進路」じゃつまらないからこそ,行き交う人の波(=恐らくルーチンワークの比喩?)を抜けて,いつもより少し遠回りな道を選びます.いつもの道(分かりきった進路)から少し遠回りすることでここから新しいことへ挑戦していることだと読み取れます.
Rotationというと真っ先に「回転」の意味が出ますが,どちらかというと日常でよく使われるローテーション,順番が決まっている様子を指しているように思えます.ここから飛び出すというのも新しいことへの挑戦と捉えられるでしょう.
これらの挑戦する姿勢は歌詞内では全て日常生活の例え(行き交う人の波,分かりきった進路)を用いて表現されていました.この姿勢を敢えて日常に溶け込ませて表現することで常に挑戦している姿勢を表しているようにも考えられます.
登場する2人の人物
歌詞内には「me」と「you」の2人が描かれます.これらの人物は誰を指しているのかという点についてです.
まず「me」というのはこの歌詞の主観となる人物でしょう.歌詞内では「シンデレラガールズ」のテーマ性,挑み続ける姿勢を描いていたことからも,「me」はアイドルのことを指していると考えてもよさそうです.
では「you」とは誰なのか.歌詞を追っていくと「ちゃんと見届けてね」や「目を逸らさないでね」などアイドル(me)の成長に付き添ってほしい人物であると考えられます.またそのアイドルを連れて行く(Take me)存在,それと同時に「信じて歩んできた軌跡を照らし」,アイドルを支える存在とは誰なのか.それを考えていくとやはりプロデューサーなのではないでしょうか.
まずプロデューサーがアイドルを連れていくで物語が始まるように,プロデューサーはアイドルを先の世界へ連れていく存在です.これは
Take me☆ 踏み出そう もっとずっと先へ
という歌詞からも推し量ることが出来ます.
プロデューサーがアイドルを連れていくという図式がありながらも「Take you」という歌詞が存在します.つまりアイドルがプロデューサーを連れていく図式です.
なぜアイドルがプロデューサーを連れていく意味があるのか.これについては次の歌詞が当てはまります.
誰も止められない 思い描いたその景色
きっと 私が見せてあげたい
期待しててね もっと
プロデューサーがアイドルが見える景色を変えたように,そのアイドルを手掛けたプロデューサーが見える景色を変えられるのもまたアイドルです.アイドルがもっと高みへ登ることで,更に言うならトップアイドルになることでしか見られない景色が存在し,それをプロデューサーに見せたいという意志がここに感じられます.
そして最後には
Take me☆Take you
もっとずっと先へ
覚めない夢は始まったばかり
とお互いがお互いをもっと先の世界へ連れて行く構図が見られます.
上記のようにアイドルとプロデューサーが二人三脚で進んでいきお互いが成長をしていく姿こそが,この「Take me ☆ Take you」という歌なのではないかと思います.
以上で記事を終了します.ここまで読んでくださった方はありがとうございました.