淡さを形に

面白い作品を面白いと言うだけのブログです.考えたことの備忘録として使うのが主 .考察っぽいことや演出とかに触れることもありますが別段その手のものを勉強しているわけではないのでかなり適当です. Twitterでは@tkihoroloのアカウントにてたまに話してたり話してなかったりします.コメント等あればTwitterにリプ投げてくれると嬉しいです.

永遠の結び愛のテキストを読んだ話。

永遠の結び愛のテキストを読んだ話。

scrap boxで雑にまとめてたらそこそこ長くなったのでこっちにも移しておく。過去記事ほど細かくは書いていないし、かなり雑に書いているので間違っているところは多々あるかもしれない。

以下本文。

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いやこのカード完全にゴールじゃん。

「ゴールじゃん」には色んな意味が含まれている。

まず特訓前。 特訓前は鍵付きの日記帳を渡すお話となっている。なるほど...... 鍵付きの日記帳っていうのは確かデレステのコミュ5で出た表現だったと思う。あそこでプロデューサーは佐久間まゆの鍵付き日記帳を読んでいる。だからこそ今回のプレゼントでは~~って流れだったんだと思う。 で、日記帳ってやつは当たり前だけど「佐久間まゆが自分の気持ちを書き綴っているもの」だったりする。しかもそれが「鍵付き」ってことは「他の人には明かせないもの」なんてのにも捉えられる。(コミュ5では、そういう鍵付き日記帳を敢えて置いといた、なんて捉え方もできる) そんな「鍵付き日記帳」を渡すってことはプロデューサーとしては、佐久間まゆの恋愛感情を認めて、受け止めているが故のプレゼントだよねという話。鍵付き日記帳の存在と内容を知っていてなお渡すってもうそういうことじゃん。 で、それのまゆのアンサーはというと、親愛度セリフにもあるけど「二人で鍵を開けること」になる。 プロデューサーは鍵付き日記帳を送った(まゆの気持ちを認める)→まゆはその日記帳をプロデューサーと鍵を開けた(私の想いを認めてくれたプロデューサーには私の気持ちを打ち明けられます) なんて捉え方もできると思う。いやもうこれって告白じゃん。どう考えても。

めちゃめちゃ細かいところを言うと、親愛度200のセリフで「積み重ね」という表記になっているところがポイントだと思っている。詳しくは163回のデレパおまけ放送での滝澤さんの話を聞いてほしいんだけど、マイスイートハネムーンでは「つみ重ねる」という表記が「罪重ねる」と「積み重ねる」のダブルミーニングだという内容があった。佐久間まゆにとっての「罪」というワードは夏の秘めごととか紡ぐ想いあたりの描写と関わりがあって、「プロデューサーとアイドルである以上、恋愛感情は罪である」という意味だったりする。しかし、今のまゆはその恋愛感情を「罪」だとは思っていない。自分のワガママを、恋愛感情を、「本当はダメなこと」ではなくきちんと自分自身の想いを肯定して素直に伝えることができるようになったの今の佐久間まゆだと僕は考えている。だからこそ、ここは「積み重ねる」で良いのだと納得した。 ちなみに、この頃の「罪=悲恋」の話をこの特訓前のルームテキストでは「悲恋の物語があるからこそ今の幸せを感じられる」とまで言っていて、思えば遠くまで来たしずいぶん強くなったなと感じた。

そして特訓後。

いやゴールじゃん。

1つ目は安直に、「プロデューサーがまゆを閉じ込めようとしている」ということ。 マイスイートハネムーンで言ったらもうこれ「鍵をかけて 愛を閉じ込めましょう」だよ。親愛度400であったように、「好きな人を秘密の場所に閉じ込めて独り占めする」っていうのはまゆと同じ気持ちだったりする。骨組みスカートだったり手錠だったりモチーフの鳥かごだったりと、もうそうじゃん。プロデューサーはまゆのこと大好きで閉じ込めようとしてるじゃん。 これにもう1つの解釈を付け加えるなら深紅の絆あたりかなと思う。詳しいことは昔書いた記事↓に任せるが、深紅の絆特訓後のイラストは「佐久間まゆが抱えている弱さを吐露する構図」だと思っている。不安で不安でしょうがないまゆの気持ちを閉じ込めて、縛ってほしいっていう願望の現れとして、特訓後イラストの背景は檻っぽくなってるしリボンで縛り付けられているという構図だ。もっと突っ込むなら遊郭を彷彿させるようなモチーフになっているのもまゆの恋愛感情の1つとも捉えられるだろう。昔のまゆが抱いていたそんな弱い気持ち(本心を今のプロデューサーなら受け止められるからこそ、その願望どおりに縛って籠の中に閉じ込めている、なんて考え方もできるかもしれない。

佐久間まゆを考える ― 初期~深紅の絆 ― - 淡さを形に

そしてもう1つ。これはどう考えてもゴールだなと思えたのが、籠の中の装飾が恋愛シンドローム特訓後を確実に意識しているデザインになっているところ。これをされたらもう完全に終わりよ。 というのも、恋愛シンドロームあたりのまゆは「自分の気持ちを突っ走る子」だったからだ。そのころはプロデューサーの感情をほぼほぼ考えず、「私が好きだから」、「不安に感じたから」という自分の原始的な欲求を伝えることしかできない子だった。逆に言うと恋愛シンドロームの頃の佐久間まゆの気持ちは「なにも飾られていない剥き出しで生の自分の感情」とも言える。その感情は誰かを気遣うこともないし、糖衣もなく、純粋無垢な佐久間まゆの恋愛感情でしかない。 そんなことを踏まえた上で今回のテキストとイラストを見てみる。すると、「鳥かご2人で入って鍵を締めましょう」なんて描写があったりする。つまり、恋愛シンドロームのあの純粋無垢なままの剥き出しの恋愛感情を今のプロデューサーなら受け止められるし、自分の気持ちに正直に伝えられるようになったとまゆがあのときの感情を気負いなく伝えられるほどの関係値になった、ということにもなる。それはね、ゴールだよ。

また、特訓後イラストの構図も面白い。特訓後イラストでは籠側から強いライティングを当てる構図になっている。つまり、恋愛シンドローム特訓後の感情は今なら「明るい素直な気持ち」として描けるということになる。そしてこのライティングの1番天才的なところは、これによって佐久間まゆが逆光の描写になるというところだ。これがとにかく上手い。最近では自分の気持ちに正直に明るくなってきたまゆが描かれていたが、逆光で影をかけることで「でも佐久間まゆの魅力の本質ってやっぱりこういう深くてダークなところだよね」ってのがイラストを通じて感じられる。なんだこれ上手すぎる。1つのライティングで2つの意味を描くな。

そんな感じで、「あーこれってゴールだね」ってひたすら思った。これも細かいところだけど、恋愛シンドロームのときの特技名は「ソウシソウアイ」だったけど今回のカード名は「永遠の結び愛」だし、こういう部分にも関係値の進展が表現されている気もする。

最後に余談。

個人的な感情と解釈だけど、佐久間まゆの物語はモバマスでいう永遠のキズナ~5thアニバが本編だと思っていて、そこから先はアフターエピソードみたいな気持ちで読んでいたところがある。5thアニバでは佐久間とプロデューサーのキズナにようやく気づくエピソードが描かれるんだけど、それ以降のカードではもうどれだけ「佐久間まゆが自分の気持ちに正直になれるか」みたいなところだったと思う。だからこそ5thアニバ以降はその気持ちに罪悪感を感じないような成長を見せるカードばかりだったと思うし、2020年の誕生日テキストであれだけ素直に自分の気持ちを伝えられたのもその証左だと思う。そして、そういう意味でもお互いがお互いの気持ちを伝えて認められた今回のカードはついにアフターストーリーの終了を迎えたんだなくらいにも思っている。そういう意味では僕はとっくのとうにもう佐久間まゆの物語は読了していた気分になっていたのかもしれない。思い返せば直近のカードテキストは結構淡々と読んでしまうことが多かった。「あぁ、強くなったなぁ」って親心のように見守る気持ちだ。 あとカードで描けることって「トップに上り詰めた姿(総選挙1位)」くらいじゃないかなぁ....そうでなければプロデューサーと素直にイチャコラしてる姿くらいしか出てこないし、そう思えるほど「佐久間まゆ」は幾重にも成長をしていった女の子なんだなと感じる。