淡さを形に

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佐久間まゆを考える ― ミニオンルージュ ―

佐久間まゆのカードについて考えるだけの記事です.今回はミニオンルージュの描写について考えていきたいと思います.

目次

ミニオンルージュという意味

まずはカードタイトルから.恐らくフランス語の「mignon rouge」から来ているのでしょう.意味としては「かわいい赤」となります.

「かわいい赤」と題されているように今回のカードではまゆの繊細な想いにフォーカスが当てられているように思えます.特訓後のイラストで花がモチーフになっていることからも「かわいい」という面に注目されているといえるでしょう.

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それでは以下からどのように描かれているのか考えていきます.

「弱さ」を見せるまゆ

まゆの弱さとはなにか.この問いに一番近いのは深紅の絆特訓後でしょう.深紅の絆特訓後には次のようなセリフがあります.

ほんとはまゆって弱い子なんです…Pさんだけの…

詳細は下記の過去記事にて,となりますが,深紅の絆ではまゆの弱さについて語られます.ざっくり言うなればまゆが抱えている不安がこの弱さとつながると言えるでしょう.それは深紅の絆特訓後のイラストが「縛り付けられる」構図になっていることからも考えられそうです.

tkihorolo.hateblo.jp

これを踏まえた上でミニオンルージュのセリフを見てみましょう.

Pさんがやれって言うかどうかが、すべてだから…

優しくされたい…。冷たくされて…また、優しく…縛り付けて

なんだって…言われるままに…

まゆ、最近自由だと不安で…。Pさんも、ですよね?

さきの深紅の絆同様,ミニオンルージュにおいてもまゆの「弱さ」が吐露されています.

かなり昔のカードになりますが,バレンタインパーティのユニットセリフにて「負けちゃった…。負けたら…褒めてもらえない…負けたら…」とまゆが語っていたことがありました.ここからわかるように,昔のまゆは「弱さ」を見せるとプロデューサーが離れてしまうと感じていた部分があります.しかし,今回のミニオンルージュのセリフのように,素直に自分の弱いところを見せることができたことは深紅の絆以降プロデューサーと信頼関係を築くことができたが故だと言えるでしょう.

「他の子を見る」と「よそ見」

さて,ミニオンルージュには次のようなセリフがあります.

よそ見はやめましょうね。約束♪大変なことになりますから

深紅の絆では「他の子を見ること」を許していましたが,それを受けて上記のセリフを聞くと一瞬戸惑ってしまいます.

そして,この構図に関しては永遠のキズナでも見られました.本質的なところはほぼ変わらないと思います.なので詳細は割愛して下記記事にて.「他の子を見る」ことと「よそ見をしない」は両立するという話です.

tkihorolo.hateblo.jp

あなたの隣に

ミニオンルージュでは「隣」という関係が見られるフレーズが多く使われます.次のセリフを見てみましょう.

横を見れば、いつだって、まゆが

本当は、Pさんの前に立っていたいんです。でも、ドキドキが止められなくて、つい…側に立ってしまうの…

なぜ「隣」という構図を強調するのか.もちろん素直にセリフのとおり「あなたの前に立つとあまりにもドキドキしてしまうから」と取っても良いです.しかし,そこからもう少し違う視点でも見ることができるようにも思えます.この「前」と「隣」には昔のまゆと今のまゆの在り方が表れているのだと考えています.

昔のまゆ,「前」のまゆとはどのことか.一番わかりやすいのが恋愛シンドロームだと思います.私の気持ちを伝えたくて伝えたくて,不安も相まってあなたに気持ちをぶつけに行く,そんなまゆです.だからこそ「前」にいるまゆです.これはイラストの構図からも言えるでしょう.

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更に言うなれば「前」のまゆは,深紅の絆までだと思っています.深紅の絆から段々まゆの心情は変化していきますが,それでもお風呂に突然入ろうとする瞬間があります.まだ「隣」にはおらず,自分の気持ちを伝えることが主体となっています.精神的な在り方でいうなら「前」から「隣」に推移する途中と言ってもいいかもしれません.

そして深紅の絆の次のカードである永遠のキズナからまゆは「隣」に寄り添います.ケッコンという構図があるように,2人で同じ夢に向かってトップアイドルへ目指し始めます.これは次のセリフからも言えます.「前」ではなく「隣」だからこそPと同じ未来をみることができます.

Pさん、まゆがトップアイドルになったら幸せですか…? じゃあ、誰より幸せにしてあげるから…ずっと隣で見ててね…?

そんな永遠のキズナの変化を受けた上での今回のミニオンルージュの「隣」というフレーズだと思っています.まゆは既にPの「前」ではなく「隣」に寄り添って同じ夢に向かっていくパートナーです.そんな構図がここからも見えるでしょう.そして,そこに添えられるのが次のセリフになります.

夢、聞かせてくれますか。それがまゆの夢になるんです…うふふ

紅いアイ

佐久間まゆのセリフでは,敢えてカタカナ表記にすることがあり,このミニオンルージュでもその表現があります.

ファンのみなさんが、まゆに紅いアイの輝きを送ってくれます。でも、まゆのアイは…ねぇPさん、どうしたら届きますか?

ここではなぜカタカナ表記になっているか,についてです.これはまゆ自身が「アイ」についてまだわかっていないからだと考えています.

「アイ」についてわかっていないとはどういうことか.よく言われますが「愛」には色々な種類があります.ライクとラブであったり,有名な概念を用いるならエロス(=性愛),フィリア(=隣人愛),アガペ(自己犠牲的な愛),ストルゲー(=家族愛)の4つがあるとも言われています.難しい話はともかく,「愛」には1つだけでなく複数の概念が存在するということです.

セリフに戻りますが,ここでのアイも様々です.ファンからまゆに送られるアイは「応援している」だとかそういった意味でしょう.しかし,まゆからPに送るアイは恋愛のそれです.ファンから送られるアイの性質とは明らかに異なっています.*1

しかし,ここでそのアイを同一視しているからこそカタカナになっているのだと考えています.ファンのアイと自分のアイを同列で語っていることからも同じことが言えるかもしれません.同じアイなのになぜ私のアイは届かないのか.アイの違いに気づけずに悩んでいる姿が描かれているのがこのセリフだと思っています.

想いは自由になりません

ミニオンルージュで個人的に一番面白いな,と感じているのが「自由を与えられた日常の佐久間まゆ」が描かれていることです.重要なのは「日常」です.なにかイベントがあるわけではなく,日々の生活をどう過ごしているか,が描かれているのがポイントだと思っています.

もちろん今まで「自由が与えられなかった」わけではありません.「日常」が与えられなかったわけでもありません.だからこそ,対比を見ることができます.

では過去にそんな描写があったカードは,というと自分は恋愛シンドロームだと思っています.恋愛シンドローム特訓前は「日常」と「自由」が与えられた上で描写されたカードとなります.セリフにもあるように恋愛シンドローム特訓前においてまゆはオフの日であることからもそれは言えます.そして,恋愛シンドロームではその「自由」において,今までの不安に駆られて車に忍びこみ,強制的に2人きりになるように行動したカードとも考えられます.

ではミニオンルージュではどのように行動しているのか.まず,次のセリフについてです.

まゆ、最近自由だと不安で…。Pさんも、ですよね?

まゆの「弱さ」として不安だったり縛られたいという願望があることからも,このセリフは妥当でしょう.自由故に,ある意味ではプロデューサーと一緒にいる口実も"縛り"もありません.だからこそ,あなたとの繋がりが消えてしまうのではないか.そんな不安を秘めているまゆの様子がここから伺えます.そんな「不安」を抱える構図は恋愛シンドローム特訓前と同じと言えるでしょう.

しかし,ミニオンルージュでは恋愛シンドロームのようにプロデューサーの車に突然潜んだりすることはありません.この変化は上述した「前」と「隣」の関係からも言えます.恋愛シンドロームでは「前」にいたかもしれませんが,深紅の絆で信頼関係を築き,永遠のキズナにて「隣」に寄り添ったまゆはプロデューサーが困るようなことはしません.

そして,その代わりにまゆは自分のことをもっともっと磨くようになります.これは次のセリフから見ることができます.

日々、もっともっと自分を磨きたいなって思ってます…誰より

アイドルになる前のまゆは、ただ見られるだけの子でした。でも、それじゃ手に入らないものがあるって気づいたんです。だから今は…歌います、踊ります♪苦手なダンスだって…頑張るんだから…

レッスンの成果、お見せしますね

誰かのために、なんでもしたいって…素晴らしいことですよね

もちろん,行動が変わったからといってまゆ自身の気持ちが変わったわけではありません.この構図は次のセリフが顕著です

想いは…自由になりません♪

自由な日々においてミニオンルージュでは過去のように自分の気持ちを伝えることだけでなく,相手のことを考えながらしっかり自分のなすべきことをこなし自分を磨くまゆが描かれています.しかし,行動が変わったからといって今までの想いが変わったわけではありません.あなたが大好き,その気持ちはずっと持ったまま成長し,恋をする姿こそがこのミニオンルージュというカードだと思っています.

おわりに

恋愛シンドローム特訓前のころは物理的な距離に依存してたわけだし,それに不安を感じていたわけだけど,ミニオンルージュは物理的な距離ができた上で不安に感じてもPの隣で歩んでいく身として前には立たずにひたすらに自分を磨き,その中で恋する姿が描かれているのがめちゃめちゃ良いですよね.

セリフにもあるんですけど,「待ち合わせましょ、Pさん。行きも帰りも、ずうっと」なんですよ.突然押しかけるんじゃなくて,あなたと私の都合の良い時間を見つけて,そこで一緒に会いましょうなんです.こういうところにも昔のカードに比べて佐久間まゆがどう変化しているのかがわかるかと思います.このセリフめっちゃすきです.この記事を書く前はミニオンルージュは永遠のキズナ以降,日常生活を過ごすまゆが描かれていると思っていたわけだけど,書いてみるとこういう細かいところで対比があると思うとすごく面白かったです.

これまでの記事はほぼ自分1人で考えてきたことがベースなんですけど,今回の記事は以前他の方と生放送*2をしたときの内容がかなり入っているかと思います.が,どこまでが誰の意見だったのかもう忘れてしまったのでこういう感じになってます.ご了承ください.

それでは,ここまで読んでくださった方はありがとうございました.

*1:実際にはガチ恋とかもいるけど今はその話は扱いません

*2:https://com.nicovideo.jp/live_archives/co3805147?com_header=1